工務店の新規事業に、なぜ「不動産」が注目されているのか?

渡部 有香 渡部 有香
マーケティング
公開日:2024/10/11
競争が激化する住宅業界で、どのように新規事業を選定すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、工務店が新たな事業展開として不動産事業が注目されている理由や、そのメリットについて記載します。


工務店の新規事業として「不動産仲介業」が選ばれる理由


市場の需要と工務店の新たな可能性


近年、日本の不動産市場は活況を呈しており、特に中古住宅の需要が高まっています。少子高齢化や都市部への人口集中、ライフスタイルの変化など、様々な要因が重なり、中古住宅の流通量は増加傾向にあります。一方で、中古住宅の購入には、リフォームや修繕が必要となるケースが多く、工務店の技術力やノウハウが求められています。工務店は、これまで培ってきた建築やリフォームの専門知識を活かし、中古住宅の価値を高めることで、新たな顧客層を獲得することができます。

不動産業の利点をどう活かすか


不動産事業は、工務店にとって新たな収益源となるだけでなく、顧客との接点を増やし、顧客基盤を拡大するチャンスも掴むことができます。例えば、中古住宅の売買仲介、リフォーム提案など、顧客のニーズに合わせた幅広いサービスを提供することで、顧客満足度を高め、長期的な関係構築につなげることもできます。また、不動産事業を通じて、地域活性化(地域創生)に貢献できる可能性もあります。

成功事例をもとにした不動産仲介業


実際に、工務店が不動産事業に参入し、成功を収めている事例は数多く存在します。例えば、中古住宅+リノベーションの提案で、顧客のライフスタイルに合わせた個性的な空間を提供することで、高い評価を得ている工務店があります。また、地域密着型の不動産情報サイトを運営し、地域住民のニーズに応えることで、顧客の信頼を獲得でき、安定的な収益を確保している工務店の事例もあります。これらの成功事例を参考に、自社の強みや地域特性を分析し、不動産事業の戦略を立てることが重要です。

工務店が不動産業へ参入する際の注意点


法的な要件とリスク管理


不動産事業には、建築業とは異なる法的な要件やリスクが伴います。例えば、宅地建物取引業法に基づく免許取得や、不動産取引に関する専門知識、顧客とのトラブル発生時の対応など、十分な理解と対策が必要です。また、売主とのやり取りも発生するため、リスク管理対策が不可欠です。

知識とノウハウの必要性


不動産事業を成功させるためには、不動産に関する知識やノウハウが必要です。主に、売買契約、不動産登記など、あらゆる業務をスムーズに行うためには、知識を習得したり、専門家と連携したりする必要があります。また、顧客のニーズを的確に把握し、適切なアドバイスを提供するためには、市場動向や顧客対応に関する知識も必要です。

資金調達と事業展開の手法


不動産事業には、初期費用や運営費用など、ある程度の資金が必要となります。資金調達方法としては、銀行融資や補助金、助成金などが選択肢としてよく挙げられます。事業展開の手法としては、

  • 土地仲介+工務店紹介

  • 中古戸建仲介+リフォーム

  • 中古マンション仲介+リノベーション

  • 他社新築建売仲介


など様々です。自社の経営方針や事業計画に合わせて、最適な資金調達方法と事業展開手法を選択することも重要と言えるでしょう。

事業展開を成功に導くための戦略


競合をしのぐ事業戦略


地域によっては、不動産市場の競争が激化する場合もあります。競合他社との差別化を図り、顧客を獲得するためには、独自の事業戦略が必要です。例えば、顧客ターゲットを絞り込み、ニーズに合わせたサービスを提供したり、地域密着型の戦略を展開したり、自社ならではの強みを活かした差別化を図ることが、成果を出す秘訣になります。

施工技術を活かした差別化


工務店は建築やリフォームの専門知識と施工技術を活かして、差別化を図ることができます。例えば、中古住宅仲介からリノベーションを提案する場合、顧客のニーズに合わせたデザイン性の高い空間を提供したり、耐震性や省エネ性能を高めたリフォームを提案したりすることで、顧客満足度を高め、競合他社との差別化を図ることができます。

「ランチェスターの弱者の戦略」の可能性


この戦略は、地方工務店にとって有効な手段の一つです。
地域密着型とも言えますが、地域の特性を熟知した、情報が豊富な不動産窓口になることができれば、住民とのつながりを深め、顧客からの信頼を得ることができます。また、地域情報誌への広告掲載、地域イベントへの参加など、地域活動を通じて顧客との接点を増やすと、親近感を高めることもできます。
これは、地方工務店ならではの戦略で、大手企業をしのぐ唯一の方法です。

不動産業と工務店の相乗効果


収益源の多様化


不動産事業は、工務店の収益源の手段を広げ、安定収益を確保することも可能になります。例えば、中古住宅の売買仲介やリフォーム提案など、複数の事業を組み合わせることで顧客ニーズへ柔軟に対応することができます。また、不動産事業を通して、住宅の購入を検討し始めたばかりの顧客とお会いすることができ、競合のいない状態で提案することも可能になります。

顧客満足度向上への取り組み


不動産事業を通じて、顧客満足度を高める取り組みは最も重要です。例えば、顧客のニーズを的確に把握し、適切なアドバイスを提供したり、顧客とのコミュニケーションを密にすることで、信頼関係を築いたり、アフターサービスを充実させることで、顧客満足度を高めることができます。

事業成功のための準備と計画


新規事業を成功させるためには、事前の準備と計画が不可欠です。市場調査、競合分析、顧客ターゲットの特定、事業計画書の作成など、綿密な準備を行い、具体的な目標と実現可能な戦略を策定することが重要です。また、事業計画に基づき、必要な資金調達、人材確保、
業務体制の構築など、具体的な計画を立て、実行していく必要があります。

持続可能なビジョンの設定


新規事業を長期的に成功させるためには、持続可能なビジョンを設定することが重要です。社会貢献や顧客満足度、従業員満足度など、企業理念に基づいたビジョンを明確にし、そのビジョンを実現するための具体的な指針を定める必要があります。また、時代の変化に対応し、常に進化していくための柔軟性も必要です。

内外のリソースを活かした成長戦略


新規事業を成長させるためには、社内外の様々なリソースを有効活用することも重要です。社内リソースとしては、従業員のスキルや経験、ノウハウなどを強化し、外部リソースとしては、専門家、金融機関、FC・VC本部などと連携することで、事業の成長を加速させることができます。
また、情報収集や市場分析、顧客の声などを積極的に拾い上げることで、より良いサービスを提供することができます。

まとめ


工務店が新しい事業として「不動産」に注目している理由は、中古住宅の人気が高まっている事の他にも、建築×不動産の相乗効果が高く、メリットが多くあるためです。

このように不動産仲介業は、工務店の建築技術をより活かせるチャンスとなり、新しい顧客を増やし、企業の成長を飛躍させる第一歩の方法になります。

不動産仲介業への参入をご検討中の方に向けにオススメのお役立ち資料もあります。是非ご参考にしてください。

 

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